【第3回】苦情とハラスメント

苦情とハラスメント

池野さん、今日は私の話を聞いてもらえますか?
実は今、介護の仕事を辞めようか悩んでいて・・・。

何かありましたか?
確か去年、老人ホームに就職が決まったということで喜んでいたのですが・・・。

先日、利用者のご家族様に、「ちゃんと見てくれてないんじゃないか!」って苦情を言われてしまって・・・。
その苦情の中で、心が折れるような事も言われてしまい、このまま続けていく自信がなくなってしまったんです。

なるほど。
ハラスメントについては、今、介護業界でも問題になっていることです。

今回のコラムでは、「施設内での苦情とハラスメント」について、私が思うことや、最近感じていることを書いていきたいと思います。
どうぞ最後までおつきあいください。

ハラスメントと聞くと、職員が入居者様や利用者様に行われているというイメージを持たれると思いますが・・・
実は入居者様やご家族様からのハラスメントも介護施設の中ではかなりの数が確認されているのが実態です。

「金払ってるんやからやるのが当たり前やろ・・!!」と・・・

確かにその通りだと思います。我々の仕事は基本的にはサービス業ですから。
しかしながら、お金だけではできない仕事であるのも事実です。

様々な苦情をお受けするということは、確かに施設側の対応の悪さもあるかもしれません。だから、苦情に対しては真摯に受け止め、対応していくのが当然のことです。

他にも
「お前らみたいななんもできないやつが介護の仕事に仕方なく就いているからこんな対応になるんやろ!!SNSで拡散させてやるからな」とも言われてしまいました・・・

それはショックでしたね・・・。

言葉というものは時に刃となります。
さすがに、このような言葉を聞いた時は、みんなショックを受けます。
ご家族様の中には、介護職のことをこういう風に見下ろしている方もいるんだなぁと率直に思いました。

我々は、介護のプロですので、ご家族様から受けた言葉で入居者様に対し対応は変えません
入居者様には何の責任もなく、「ありがとう」って、私たちが胸を熱くするくらいの感謝の言葉をいただけています。その言葉が職員にとって何よりの宝となっています。

実際に、ご家族様の言葉により、辞めた職員も多数います。利用者様から受けたハラスメントでやめた職員も多数います。介護施設では、ハラスメントに関して、かなり深刻な問題となっています。職員が退職してしまうと、介護施設のケアの質は下がります。職員数が減るということは、入居者の皆様が満足のいくサービスが滞ってしまうからです。そして、それがまた苦情となり、ハラスメントを受け職員が辞めていく・・という負の連鎖が今の介護施設では起こっています。

介護施設は、超高齢化社会と共に増えていっていますが、人口の減少により働き手は著しく減っています。介護士を獲得していくことは、どこの施設も訪問介護もみんな必死です。誰でも採用できるわけではなく、会社の理念に沿って思いのある仕事をしてくれる職員をどこの業種も求めていますし・・

 

今日のコラムは、介護職を全面的に擁護しているものではありません。介護職の中にも心無いケアをする人もいるという事実もあるからです。
介護士も、介護される方も、介護をお願いする方もお互いを思いやり尊重することができれば、このような問題は減っていくんだろうな・・と日々感じています。

(シニアスタイル 池野)


シニアスタイル施設統括本部長
池野 直美(いけの なおみ)

介護業界に携わり20年
介護支援専門員・介護福祉士・心理カウンセラーなどの資格を持つ。
前職は介護講師として従事し、現在は職員の育成を中心に行っている。

 

自分本位なケアをする介護職員が多いと感じ、「資格取得時に、どんな内容で、どういうカリキュラムで教わっているのか?」と疑問に思ったことから、介護講師となる。

介護講師時代に出会った先輩講師からの教えが胸に突き刺さり、介護現場に復帰。
その後、シニアスタイルに訪問サービスの管理者として就職。
シニアスタイル尼崎・武庫之荘の開設時から関わり、施設長として施設の基盤を作る。

現在は、「介護職のすばらしさ」「本当にすごい仕事だということ」「人の命はかけがえのないものだということ」を信念にもち、職員の育成に努めている。