介護難民

介護難民

池野さん、こんにちは。
最近、「介護難民」って言葉を耳にするんだけど、具体的にはどういうこと?

こんにちは。
「介護難民」それはまた、難しく深刻な話題ですね。

2025年問題とかも言われてて、なんだか今後が不安になってきました。

それでは、今回は「介護難民」についてお話ししましょう。

・介護難民とは・・・?

介護が必要な状況にあるにもかかわらず、適正な介護が受けられない状況にあることを言います。
人材不足。少子高齢化。核家族化。経済的な問題。高齢世帯の増加などの様々な要因があります。

・2025年問題とは・・・?

2025年には800万人の団塊の世代の方が75歳を迎えることとなり、日本における少子高齢化はますます拍車がかかってしまうこととなり介護難民が増加することとなり、日本国における重要な問題となります。

・全国の高齢者施設の状況

全国に数多くある高齢者施設(老人ホームなど)ですが、金額帯もばらばらで受け入れ基準もばらばらです。医療ニーズが高い方が入居できる施設はやはり高額な施設が多く、一般的な家庭では難しいのが現実です。比較的安価な特養老人ホームは要介護3以上の制約があるうえ、空き待ちの状態が続き入れない事が当たり前な状況となっています。

自宅で介護が難しい。介護をしてくれる家族がいない人は介護施設への入居が本来は望ましいのですが、全員が入れる状況ではないのがこの国の実態です。

実際、私も介護施設働かせていただいていますが、限られた介護報酬の中で介護士の確保し、安定した施設の運営も厳しい状況となっています。

・介護保険サービスについて

2000年に始まった介護保険サービス。運用当初は本当に使用しやすく、皆さんが介護を受けやすい状態でした。しかし、このサービスを悪用したり、適正な利用ができていなかったり、介護士をお手伝いさん呼ばわりしたりいろんな問題が起き、そのたびに法改正されていき、今のような形となりました。国もここま社会保障費が逼迫するとは考えていなかったのでしょう。

・相談できる場所、相談できる人との出会い

現在、何らかの介護を必要としている人は65歳以上の方の4分の1いると推測されています。介護が必要な方々全員が、本当に必要で適切なサービスを現在受けられているわけではなく、孤独死や虐待により命を落としている方々も多くはありません。
この世に生まれ、日本で一生懸命働き、生きてきた高齢者の方々が安心して生活できる環境をもっと構築していくべきではないのでしょうか。
家庭内での介護が始まると、家庭内の機能は低下していきます。介護のため仕事に制限がかかる方、もしくは退職を余儀なくされるかた・・。介護がある一方で、生活費を工面せねばならず、行き場を失っている方も存在しています。その時に、相談できる場所、相談できる人、その方たちとの出会いで救われる命もあります。もっと簡単に相談ができ、サービスが受けられる環境が整えば、介護難民という文言も消えるかもしれません。

 

誰しも、介護を受けたいと思い歳を重ねてるわけではありません。最後の時まで自分でご飯を食べ、自分で歩き、自分で排泄を行い、入浴をしたい・・
多くの人は死ぬまで自分はできるのではないかと思っているのではないでしょうか・・私もその一人かもしれません。
でも、想像もつかない疾病を患ってしまったり、思いもよらないケガをしてしまったことが原因となり、後遺症を抱え生きることとなります。そして、体がうまく動かないようになり介護が必要となってしまいます。
高齢者の方の中には、「情けない」や「死にたい」などを口に出してしまわれることもあります。そんな、悲しいことあってはいけない。しっかりと支援を受け、人生を全うしてほしいと願うばかりです。

物があふれ、情報が飛び交い、不自由なく生活ができる日本ですが、その陰で、日々の生活を当たり前の生活をおくれていない方々もこの国にいることを私たちは忘れることなく、笑顔で生活できるように支援の手を広げることができればと思います。

(シニアスタイル 池野)


シニアスタイル施設統括本部長
池野 直美(いけの なおみ)

介護業界に携わり20年
介護支援専門員・介護福祉士・心理カウンセラーなどの資格を持つ。
前職は介護講師として従事し、現在は職員の育成を中心に行っている。

 

自分本位なケアをする介護職員が多いと感じ、「資格取得時に、どんな内容で、どういうカリキュラムで教わっているのか?」と疑問に思ったことから、介護講師となる。

介護講師時代に出会った先輩講師からの教えが胸に突き刺さり、介護現場に復帰。
その後、シニアスタイルに訪問サービスの管理者として就職。
シニアスタイル尼崎・武庫之荘の開設時から関わり、施設長として施設の基盤を作る。

現在は、「介護職のすばらしさ」「本当にすごい仕事だということ」「人の命はかけがえのないものだということ」を信念にもち、職員の育成に努めている。